ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第53章 2度目の治療
「うっ、寒っ!!」
久しぶりに来た屋上。
夏樹くんと来たのは中学2年生の頃で、初夏だった。
でも今は冬。しかも雪がちらついてて、パジャマにカーディガンじゃバカにみたいに寒い。
でも、せっかく来たし、病室に戻ったら治療に連行されるし…。
と、夏樹くんと座ったコンクリートの段差にひとり腰掛けた。
なんかここ懐かしいな。
ノワールに来てからもう2年経つのか…。
年が明けて2年生になれば、もう丸3年なんだ。
前ここに座った時は喘息と貧血だったのに、なんか病気増えちゃってるな。
背は伸びて体重も増えたのに、夏樹くんだってもう元気しかなくてなんともないのに、わたしはなんでかな…。
「はぁ…」
とため息をついた息が真っ白。
もう1ヶ月くらい外に出てなかったから、息も真っ白になる季節に。
「ハァ〜」
ともう一度息を吐いて、白い息で遊んでみる。
小さい頃は不思議だったな。寒くなるとなんで息が白くなるんだろうって、ずっとこうやってハァ〜ってしてた気がする。
「ハァ〜…」
そんなこと考えながら息を吐いて遊んでるうちに、いつの間にか白い息は見えなくなって、真っ暗な世界に入ってた。