ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第59章 まだ始まらない恋の始まり
"トクン"
離して欲しいのに…、触らないで欲しいのに…、胸はトクンって。
五条先生、大好きだよ。
離れたくないよ。
って、わたしの心臓が叫んでくる。
離れたいのに、触れたくないのに、どうしても身体を五条先生に預けてしまう。
「ひな…もう何も考えるな。何も考えず、呼吸にだけ集中しなさい。」
「ヒック、ヒック…ぅぅ…グスン……ケホケホッ…ヒック、グスン…ケホケホッ…ヒック…」
いつかのあの時と同じ。
五条先生と出会った頃にもこんなことがあった。
止まらない涙を五条先生の胸の中で流しながら、五条先生は呼吸が大事って、そんなこと言いながら優しく撫でてくれる手が、何よりも安心感を与えてくれて、落ち着かせてくれるの。