ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第59章 まだ始まらない恋の始まり
「ひなもう痛くない。頑張ってえらいぞ。」
いつもは鬼のように怖い五条先生が、屋上に行ってこんなことになったのに怒らない。
なんでよ…?
こんな時に限って、もう優しくしないでってば…
「五条先生…、もぅ、触らないで…優しくしなぃ…で…グスン。五条先生の手…ケホッ、汚しちゃう…ケホケホ…、わたし…ハァハァ、けが…ゲホゲホッ…れっ…ゲホッ…汚っ…ゲホゲホゲホッ!」
肝心なところで発作が起きる。
咳と涙でうまく話せない。
「ほら変なこと言うからだぞ…。落ち着いてちゃんと呼吸して。」
そう言いながら、五条先生に身体を起こされて、藤堂先生は口元に吸入器を当てようとする。
「嫌っ…ゲホゲホゲホッ…わたし、汚されたのっ、ゲホゲホゲホッ…あの人…ハァハァ、この身体…ゲホゲホゲホッ…」
藤堂「ひなちゃん、喋らなくていいから口開けよう。息できなくなるからね。」
「ハァッ…ハァッ…ゃだ、ハァハァ…もぅやだっ…ゲホッ、ゲホゲホゲホッ!!」
「ひなっ!とりあえず口開けなさい!」
って、いつもより抵抗する力も出なくて、無理矢理吸入させられてしまった。
そして、五条先生に、そっとぎゅっと抱きしめられた。