ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第59章 まだ始まらない恋の始まり
「グスン、グスン…汚れてるでしょ…、わたし、あの人に…グスン、ヒック、ヒック…されたから…あの人に…」
「こら、ひな。」
抱きしめてくれてた身体が離されて、今度は両手で頬を挟まれた。
もちろん、わたしと目を合わせるため。
「ひなは汚れてないって、何度も言わせるな…」
「でも…本当なの。ヒック、ヒック、小学生の頃…痛くて血がいっぱい出たのに、何されてるかわからなかったのっ…ヒック。好きな人としかしちゃいけないこと…わたし…うぅ、わたし…はあの人と…ヒック、ヒック…グスン…、捨てたい…こんな身体…大好きな五条先生に触って欲しくなっ」
「ひなっ!!もうそれ以上言うなっ。」
わたしの言葉を待たずして、五条先生は再びわたしを抱きしめた。
さっきよりもぎゅっと強く、だけど優しく。
「わかってるからもう言うな…。そもそも汚れてるって意味わかってんのか?真逆だろが。ひなほど純粋な子どこにいんだよ…。だから触って欲しくないなんて、もう言わないでくれ。ひなに拒否されると割と堪える…。好きだからいつも抱きしめるんだ。俺もひなが好きだから、守ってやりたいんだ…。」