ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第74章 ぶどうジュース事件
バカな夏樹も根っからのバカではない。
なんならひなより聞き分けはいい。
高校生になって自分なりに物事考えて、男らしさも見えた夏樹に、
「なぁ、夏樹。学校にいる間は、お前にひなのこと頼めるか?具合悪くてもすぐ隠して無理するんだが、俺も気づけないことあるから。ひなのこと、気をつけて見ててやってくれ。」
と、ひなのことを頼んだのはこの時だ。
「わかった。ひなのになんかあればこっそり伝えるよ。あ、だから五条先生のLIME教えて。」
とLIME交換したのもこの時。
それから本当に夏樹はひなのこと気にかけてくれてて、密告もしてくれる。
夏樹がEからB、そしてAクラスまで成績を上げられたのも、9割は本当に医者を目指すためだが、残りの1割はひなのため。
学校にいる間くらいなるべくひなのそばにって思いで、必死に勉強を頑張ったことが見ててわかるから、なんとも憎めない。
ひなを心配そうに見る夏樹の顔を見ると、ふと、そんなことも思い出した。