ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第78章 わたしの心臓
五条先生…
…五条先生の声だ。五条先生がいる。
五条先生どこ…?
と声を出そうにも、ICU恒例酸素マスク…じゃなくて、これはあれだ、人工呼吸器に繋がれてるんだ。
管があって全く声を出せない。
「ひなわかるか?わかったら手握ってごらん。」
あ、そっか。
手を握るんだ。
手…、手…、えっと手は……
まだうまく働かない頭と神経を奮い立たせて、手をほんの少し動かしてみる。
すると、
「ひな、よく頑張った…」
という、五条先生の安心したような、安心しすぎて力の抜けたような声がして、頭にふわっと優しい感触が。
そして、目の前にはわたしを覗く五条先生の顔。