ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第135章 凪の揺らぎ
そうこうしていると、
宇髄「ん…?」
突然、宇髄先生がエコーの手を止める。
「宇髄先生…?何かありましたか…?」
宇髄「ごめん、ひなちゃん。もう一回内診させて。」
「えっ?」
宇髄「破水してるかもしれん。」
そう言って、宇髄先生はプローブをしまい、わたしのお腹のジェルを拭き取って、
宇髄「入るよ〜、息吐いて〜」
今度は膣鏡を入れて、破水の有無を調べてもらう。
五条「ひな、大丈夫だ。」
ついさっきまでとは反対に、わたしが少し動揺しているのを、悠仁さんが落ち着かせてくれる。
宇髄「やっぱり。高位破水してるな。」
「そんな、全然気づかなかったです…。」
宇髄「気づかないくらい、羊水はそんなに漏れてないってことだ。心配しなくて大丈夫。ただ、破水してる以上お産は長引かない方がいいから、促進剤は早めに使うかもしれん。とりあえず、今から採血して、CTG付けて、カテーテルも早めに入れよう。」
さっきまで平気だったのに、なんだか急に、いよいよ出産なんだって実感が湧いてきて、緊張してきて、少し不安になってきた。
そんなわたしの心境に気づいてか、
宇髄「ひなちゃん、大丈夫だ。何があってもサポートできる体制は整えてるから、安心して臨んだらいい。良いお産にしような。」
と、宇髄先生が。
「はい……お願いします。」
言葉はそれだけだけど、それだけの言葉と宇髄先生が持つ包容力で、わたしの中でひとつ覚悟が決まった気がして、気持ちが軽く前向きになった。
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