ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第78章 わたしの心臓
「身体起こすとしんどいか?」
「大丈夫です…」
手を握りながら手首の脈にも触れてみるが、今のところ安定してる。
「ひな、今から一緒にリハビリしに行くか。」
「…やめときます。」
予想を裏切らない返事だな…
「そのやめときますは、しんどいからやめとくのか、やりたくないからやめとくのか、どっちだ?」
「……しんどい、から。」
もちろん嘘なのはわかってる。
やりたくないって言ったら怒られると思ってる。
けどそういうところがひなは甘い。
仮にしんどいが本当だとすれば、早く言わんかとなるし、しんどいが嘘だとしたら、嘘ついたことに怒る。
正直にやりたくないって言えば理由を聞くのに…って、今の精神的不安定な状態では、いずれにしろ怒るつもりはないので、
「しんどい?」
ひなの言葉を信じるようにおでこに手を当てて、
「熱はないな。ん、ちょっと診せて。」
今度は下瞼をめくった。
すると、目に溜め込んでたひなの涙がこぼれたので、そのまま頬を両手で挟み、親指でそっと涙を拭った。