ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第80章 医大生、新たな出会い
「栗花落さん、お疲れ様。」
わたしと目が合うと、足を止めて爽やかな笑顔で言う彼。
あまりにも自然な振る舞いに、嫌味や下心のないこの笑顔。
今朝出会ったばかりで得体の知れない彼だけど、この笑顔にはどことなく既視感があって、絶対に悪い人ではないと本能的にわかる。
「お、お疲れ様です。」
頭をペコッと下げながらとりあえず返事をして、
「あ、あの…七海さん、どうしてわたしの名前知ってるんですか?」
と改めて聞いてみた。
すると、
「ふふっ。そんなかしこまらなくていいよ。俺、中高とアメリカに居たから堅いのとか苦手でさ。だからほら、朝言った通り"傑"って呼んで?俺もひなのって呼ぶから。」
あ、なるほど。
ぶつかった時にSorryって言ったのは、アメリカ帰りだからか。
きっと、咄嗟に英語が出てきちゃったんだろうな。
そっかそっか…って、そこに納得してる場合じゃない。