3度目にして最愛
第1章 1度目は傷心
それから3ヶ月が経過した残暑が残る10月の末、冷え込みが厳しい冬に備える為、水城はヒートテック手袋を買いに、ショッピングモールに向かい、お目当ての品を購入していた。
そのまま店を出ようとした所、確かにこの間まで自分と恋仲だった筈の男とそっくりな後姿が目の前を通り過ぎた。
振り返ると、綺麗に切り揃えられた茶髪のボブショートの女を横に連れていて、圧迫された胸の痛みを感じても水城の両足は二人の会話が聞こえる距離までいつの間にか急接近していた。どうやらこの後映画に行くらしい。
「とても楽しみ」と言った女が、「いきなり急な話なんだけど」と一言前置きを残し、自分の恋人だった筈の男に繋がれていない右手を緊張の為か強く握り締めた。
「付き合って下さい」
そう自信なさげに告白したボブショートの女に、間髪入れずに「良いよ」と返ってきた男の声は、紛れもなく水城の恋人だった筈の男の声だった。
急に道端で立ち止まった水城を上手く避けたり、はたまた邪魔だと悪態を吐く通行人が通り過ぎていく中で、彼女は購入した手袋を握り締めながら、踵を返した。
帰路に着く頃には、両眼にヒリヒリとした痛みを感じていた。
そのまま店を出ようとした所、確かにこの間まで自分と恋仲だった筈の男とそっくりな後姿が目の前を通り過ぎた。
振り返ると、綺麗に切り揃えられた茶髪のボブショートの女を横に連れていて、圧迫された胸の痛みを感じても水城の両足は二人の会話が聞こえる距離までいつの間にか急接近していた。どうやらこの後映画に行くらしい。
「とても楽しみ」と言った女が、「いきなり急な話なんだけど」と一言前置きを残し、自分の恋人だった筈の男に繋がれていない右手を緊張の為か強く握り締めた。
「付き合って下さい」
そう自信なさげに告白したボブショートの女に、間髪入れずに「良いよ」と返ってきた男の声は、紛れもなく水城の恋人だった筈の男の声だった。
急に道端で立ち止まった水城を上手く避けたり、はたまた邪魔だと悪態を吐く通行人が通り過ぎていく中で、彼女は購入した手袋を握り締めながら、踵を返した。
帰路に着く頃には、両眼にヒリヒリとした痛みを感じていた。