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先生、出ちゃうよ

第9章 院内学級

由奈が思ったよりも早く院内学級に馴染んでくれてよかった。

亜美と海斗のおかげだ。
2人は小学校1年生の頃、白血病で入院していた。
人手不足の小児科を手伝ったときに担当していた子供たちだ。
見ないうちに大きくなった。
2人は一緒に闘病しているうちに恋に落ちたらしい。

2人の良い雰囲気のおかげで由奈の緊張も解けたのだろう。


そして、昨日の夜、大きなニュースが俺のもとに飛び込んできた。

アメリカで多感症の患者の新たな治療法が見つかったらしい。
ある薬を飲んだ状態で絶頂を迎えると、血液の中に絶頂を阻害する抗体のようなものが作られるのだ。
その効果は2週間程度続くらしい。
しかし、この薬は効く人と効かない人がいるようだ。

もしも、これが由奈の体でも起きるのならば外出もできるようになるし、退院の時期も早まるかも知れない。

ただ、その薬には媚薬と同じ成分が含まれており、重度の患者には負担が大きすぎる。由奈の場合はいつもこの薬を使うというわけにはいかないだろうが新たな可能性であることには間違いない。

俺はそれを調べるために由奈の採血をした。

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