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「おお～、田中！　ひっさしぶりだな～」

「滝川も、元気そうだな」

あちこちで懐かしい面々が再開を喜び合っていた。

今日は、十年ぶりだろうか、高校の同窓会が開かれる。
皆が四十を迎えるにあたって企画されたのだが、ホテルでの一泊二日の催しとあって集まったのは十五人ほどだった。


「田中君……、久しぶり……ね」

声をかけてきたのは、元カノジョの原田絹絵《はらだきぬえ》。

絹絵は、私の初体験の相手で中学三年の時に付き合い、その後高校三年で同じクラスになったのをきっかけに、ヨリを戻し卒業まで付き合っていた。


今回の同窓会の発起人だ。


「きぬ、いや原田さんも、久しぶりだね。　元気にしてた？」

青春時代、愛し合っていた元恋人との再会、あの当時の私には考えも及ばないシチュエーションだ。


お互いに年を取った……、と感じざるを得ない。

「今は、川田って言うのよ、『絹絵』で良いわよ、一夏」

たしか、十年前に開かれ同窓会ではお互いに独身同士だった。

あれから、私も絹絵も、結婚してお互いに家庭を持ったという事になる。

「そうだな……、絹絵。　なんだか色っぽくなったな」

「ヤダ、それって、全体に肉が付いたって言いたいの？」

「そんなことないさ、女の色気に磨きがかかったって、言ってるんだよ」

「ウフフ、相変わらず口が達者ね」

そう言いながら、絹絵は私との距離を縮める。人妻になった元カノは強烈な色香をまとい、大量のフェロモンを発散させていた。