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変態ですけど、何か?

第10章 レクイエム

ピンポン!

と、入り口のインターホンが鳴った。

玲子先生が応答すると、
「玲子。夕食の支度ができたから、こちらにいらっしゃい」
と、玲子先生のお母さんの声が聞こえた。


工場の二階の、リビングに連れだって行くと、
テーブルの上で、すき焼きが美味しそうな湯気を立てていた。

「さあ、座って。里帆ちゃん、お肉は大丈夫だったかな?」
お母さんが気を遣って尋ねてくれる。

「もちろんです。いつもパパと2人だから、すき焼きなんて久しぶりです。
いただきます!」

玲子先生が、玉子を割ってくれて、すき焼きを器に取り分けてくれる。

お母さんが、あたしたちを交互に見て、
「本当に姉妹みたいねぇ。玲子がこんなに世話焼きだなんて知らなかったわ。
たまに、従姉妹の子が来ても、自分だけさっさと食べて、部屋に戻るのに」

驚いたように、でも、少し嬉しそうに言う。

「そうなんですか?」
あたしが言うと、お母さんは頷いた。

「そうなのよ。
本当はね、玲子に姉弟を生んであげたかったんだけどね。私の身体が、丈夫じゃないものだから・・・」

「おい、お母さん。お客さんの前だぞ」
お母さんの話を、ビールで真っ赤になっているお父さんが遮った。

「そうよ、お母さん。
それにね、私は姉弟がいないからって、寂しい思いなんてしたことないよ。2人がいつもそばに居てくれたから」
玲子先生が言う。

「あら、そうよね。ごめんなさい。
里帆ちゃん、もっとお肉食べるでしょ?」
お母さんは、涙ぐみそうになったのを隠すように言った。

「はい!まだまだいくらでも入りそうです!」

あたしは、少しおどけて言った。

お母さん、流産でもしたのかな?
きっと、過去には辛い思い出もあったみたい。

でも今は親子3人、絵に描いたような家族。

あたしは、少し羨ましかった。

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