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変態ですけど、何か?

第11章 淳也

淳也が向こうを向いて、煙を吐き出した。

「ふふ、そんなに気にしなくていいよ」

あたしが笑いかける。

「そんな訳にはいかないよ」

最後の一息を吸って、タバコを揉み消した。

「じゃあ、煙いから、禁煙して?!」

あたしが言うと、淳也が即座に反応した。

「それだけは、ムリ」

「あたしが頼んでも?」

「じゃあ、里帆とデートの時だけは、禁煙するよ」

本気で言ってる訳じゃないのに、ホントに真面目。
これで女装癖がなければ、完璧なのに・・・。

なんとなく、そう思った。

「僕の提案は、却下?」

淳也が再び尋ねる。

「いいよ。禁煙しなくても。ちょっと、イジワル言ってみただけ」

「良かった!僕って、酒も飲まないし、ギャンブルもしないし、楽しみってタバコだけなんだよね」

「女装があるじゃない、あはっ!」

あたしは素早くツッコミを入れた。

「確かに」

淳也が照れ臭そうに言った。


「里帆、腹減ったし、そろそろ出て、飯でも一緒に行かない?」
淳也が誘う。

「でも、淳也。洋服はどうするの?さすがに、その服で街に出るのはまずいんじゃない?」

「はははっ!それは大丈夫。ちゃんと車の後部座席に、普通の服を入れてあるから」

淳也が自慢げに言った。

「でも、駐車場まではどうするの?」

あたしが尋ねると、

「しまった!そうだった」
と、頭を抱えた。

「あはっ!バカよねえ」

シュンとしている淳也に、あたしは助け船を出して上げた。

「カギ貸して。取ってきて上げる。ヤバいものとか、積んでないよね?」

「ありがとう。あったとしても、女装下着くらいだよ。デパートの紙袋にはいってるから、頼む」

「わかった」

あたしは、簡単に身支度を整えて、取りに行った。

「はい、これ」

「サンキュー!ちょっとだけ待ってて」

淳也が着替える間に、あたしは、乱れた化粧を直す。

「何が食べたい?」

ジーンズを履きながら、淳也が尋ねる。

「あのねえ、お寿司がいいな。回らないヤツ」

「ゲゲッ!金、足りるかなあ」

淳也が不安そうな顔になった。

「いいよ、今夜はあたしが奢って上げる。
この前助けてくれたお礼」

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