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変態ですけど、何か?

第15章 パパのこと ~2~

あたしは、迷った末、答えた。

「どんな答えを聞いても、パパのそばに居てくれますか?」

「もちろん。忠明さんは、私の命だわ」

あたしは頷いた。

「パパとは、関係なんてありません。昔も、もちろん今も。
それに、あたしは元々、レズなんです。
高校生のときは、秋野玲子さんって人と、ずっと付き合っていました。
亡くなってしまったけど・・・」

秋野玲子を思い出して、あたしの胸が締め付けられ、
涙が溢れそうになった。

「秋野・・玲子?
あの、美容外科の?」

「はい。医療過誤の疑いをかけられて、
自殺しちゃいましたけど」

あたしの目から、とうとう涙が溢れた。

「宮崎の自殺現場に、献花しに来た女の子がいるって、週刊誌に書いてた事があったけど、
あれって本当だったんだ!」

「はい。今みたいに、何でもネットに書かれるようになる前だったから、噂話で立ち消えになりましたけど・・・」

あたしは言った。

「辛かったでしょうね。お葬式にも行けなくて?」

「でも、玲子のお抱え運転手さんと、御家族の計らいで、最後のお別れだけはできました。
包帯を巻かれたままの姿だったけど」

あたしは、嗚咽しながら答えた。

「ごめんね。辛いこと思い出させて」
美佐子が詫びた。

「いいんです。だから、パパの事を、信じてあげて下さい。
きっと、ひとり暮らししてるあたしの事が心配で、頭から離れなかったんだと思います」

「ごめんね、ホントに」

「大丈夫です。それに今は、靖子がそばにいてくれるから」

あたしは言いながら、
靖子と一緒に玲子のお墓参りに行こうと考えていた。

お盆やお彼岸を避ければ、ゆっくり玲子に報告出来るだろうから。


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