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変態ですけど、何か?

第15章 パパのこと ~2~

「良かった。里帆の役に立てて」

靖子があたしの頬をつついて言った。

「靖子!大好き」

あたしは靖子の胸に顔を埋めた。

靖子があたしの髪を優しく撫でてくれる。

あたしは、今までに感じたことのない幸福感に包まれていた。

思えばこれまで、いろんな人と関係を持ってきた。
同級生、パパ、立花玲子先生、それに数え切れない行きずりの男女たち・・・。

それは自分で制御しきれない、溢れ出る欲望のせいだと思っていた。

愛し合う度に、欲望は満たされたし、心も満足していたつもりだった。

でも、
あたしは思う。

本当に今までに欲望をぶつけ合った中で、心から愛していたのは、
秋野玲子と、今あたしの髪を撫でてくれている靖子だけだったように思う。

「玲子・・・」

あたしは、ふと呟いていた。

髪を撫でる、靖子の手が止まった。

あたしは、思わず顔をあげて言った。

「靖子、ごめん!あたし、いろいろ思い出していて、つい・・・」

あたしはあわてて言った。

でも、靖子は微笑みを湛えたまま、あたしにキスをした。

「里帆、行こうか、お墓参り」

「えっ?」
思いがけない言葉に、あたしは言葉を喪った。

「秋野玲子さんのお墓よ。里帆は、愛してたんでしょう?」

靖子は言う。

「あたし・・・。でも、今は靖子の事、愛してる」

「わかってるよ。でも、玲子さんのこと、心の中で区切りはつかないのでしょう?」

「そんなことない!靖子が好きなの!」

靖子はあたしを抱き締めた。

「わかってる。だから、余計に、玲子さんに報告しなきゃ」

靖子が言った。

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