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変態ですけど、何か?

第15章 パパのこと ~2~

仕事を切り上げて帰ってきた靖子に、あたしは美佐子との顛末を話した。

はじめは、パパの結婚の話だけにするつもりだったが、靖子に促されて全てを話したくなった。

あたしの話を聞き終えて、靖子は言った。

「それで良かったと思うよ。
美佐子さんは、全部わかっていたと思うけど、それでいいのよ。
本当の事を知らせるのも優しさだけど、
あくまでも否定してあげることも優しさなんじゃないかな?
里帆のお父さんが、そういうことを望んだのなら、里帆はそれに合わせてあげることが良かったんだと思うよ」

「そう・・・」

「少なくとも私なら、そうしてくれた方がいいかな。
もし、二人から真実を聞かされたら、これから先、どんな顔で付き合っていけばいいのかわからないもの。
自分の愛した男性が、実の娘と関係があったとしたら、
たとえそれが過去の事だとしても、平静ではいられない。
里帆に会うたびに、心の準備をして、構えて話さなければいけないじゃない?
疑惑のままだったら、自分を偽ってでも、義理の娘として普通に付き合うことも出来ると思うわ。もちろん、一緒に暮らしていないという前提だけどね」

靖子の考え方が、正しいのかどうなのか、あたしには良くわからない。

ただ、ひとつの考え方としては、間違っていないようにも思える。

パパとあたしとが関係を持っていた事は、誰にも知られてはいない(靖子は別だけど)。

つまり、どちらかが認めない限り、その事実は無かったことになるように思う。

ズルい考え方かも知れないけど、それでパパと美佐子さんが上手くいくならば、
あたしは嘘をつきとおしていこう。

「ありがとう、靖子。少し気持ちが楽になった」

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