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誓いのガーランド

第9章 花冠の代わりに 2

「え……」

角村が、自分の唇に手を当てる。

花実はそんな彼の驚いた表情を見て、自分が角村に口づけをしていたという実感が追いつく。
慌てて頭に載ったネクタイを下ろして、ぎゅっと握りしめると、恥ずかしさで俯いた。

「いや、その……!!! あの、そんなつもりなかったんだけれど……」

花実の頭に一気に血が昇る。

やってしまった!!!!!

花実は心の中で叫んでいたが、後悔、先に立たず。

お互い、ゆっくりとベンチに座り直すと、顔を背けた。

「ごめん、角村くん、本当にごめん……、あ、あのうがいとかしてきて大丈夫だから」

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