
誓いのガーランド
第9章 花冠の代わりに 2
花実はその瞬間、角村のその繊細で綺麗な表情を、自分のものにしたいと強く思った。
頭に載せた花冠を手で押えながら、そっと角村の唇に顔を近づける。
花実は吸い寄せられるように、角村と唇を重ねていた。
まるで、そうするのが自然なように。
花実の唇に、彼の柔らかさが触れる。
花実はその僅かな時間を、とてもとても長く感じた。
甘い気持ちが心の中にとぐろを巻いている。
もう一度、花の匂いが流れてくる気がした。
唇を離す。
お互いに、ゆっくりと目を開けた。
その瞬間、花実は突然に酔いが覚めて、冷静な自分に戻っていた。
辺りは暗く、ベンチに座っている。ここは飲み会をしていた居酒屋の前。
