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不倫研究サークル

第10章 不倫

「圭君……」

「圭君……」

肩を揺さぶられて、僕は目を覚ます。

「あれ? 僕、寝てました?」

「ええ、五分も寝てないけど……、眠いのなら、こんな所で寝てはだめよ」

「すみません、昨日、眠れなかったものですから」

「あら、陽菜ちゃんがまた、わがまましたんでしょ」

「あ、いえ、そういう事では……」

一緒に寝たなんて、とても言えない。

「少し、休んだ方が良いわね。こちらへいらっしゃい」

「あ、いえ、大丈夫です」

しかし、佳那は僕の手を引き、リビングから連れ出そうとする。

「無理しないの、来て」

有無を言わせないところは、陽菜とよく似ている。この母親に娘、やはり母娘だと思った。

佳那は、廊下に面しているドアを開けると、僕を中に招き入れる。
中には、大きなベッドがあり、佳那の匂いがこもっていた。

成熟した大人の色香に、僕は頭がクラクラする思いがした。

「あの……、ここは?」

「わたしの寝室よ」

後ろ手でドアを閉めながら、佳那は言った。彼女の目が心なしか妖しい色を帯びている気がした。

「え……と、つまり……、ご夫婦の寝室……ですよね」

「ええ、でも主人は年に数回しかここで寝ないから、わたしの個室みたいなものよ」

たしか、陽菜も父親は海外にいて年に二回ほどしか帰らないと言っていた。

「いや、ここで寝る訳には」

僕が遠慮すると、佳那は距離を縮めて、僕の胸に頭を預けた。

「わたしの寝たベッドを使うのは……、イヤ?」

大人の香水の匂いが、鼻をくすぐり、僕の理性の殻を破る。

「さあ、座って」

佳那は、そのまま、僕をベッドに押し倒した。

クッションの効いたベッドの上で、二人の身体が弾む。




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