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不倫研究サークル

第11章 リケジョ

「あわわ、すみません、川本さんって綺麗だな、と思って、つい見とれてました」

(な、な、なにを、歯の浮いたようなお世辞を言ってるんだーーーー僕は!?)


「クス、森岡君って、真面目な人かと思ったら、そんなお世辞を言えるんだ」
「もしかして、意外に遊んでる?」

愛莉は、冷たい目を弧にするとクスクスと笑った。

(うわ……、笑うと可愛い)

「また、じっと見してる 笑」

「あ、ごめんなさい。川本さんって笑ってた方が可愛いですよ」

「あいがとう、お世辞でもウレシイ」と言って、またもニコリと愛莉は笑う。

(やっぱり、可愛い)
きっと、普段の冷たい目とのギャップが、彼女の笑顔を引き立てているのだと感じた。

「もう~、あまり見つめないで。 ハズカシイじゃない」
「あ、そうだ。 森岡君って家庭教師のバイトしてるんだよね?」

「え、ええ」

「わたしを紹介してくれない?」

綾乃の所へは、一度行かなければと思っていたところだった。愛莉を連れて行って、そのついでに綾乃に釈明しようと、僕は考えた。

「良いですよ、ちょうどカテマッチの事務所に行く用事があったんです」

「そう、じゃあ、前期の試験が始まる前に行きたいから、来週のどこかで都合着くかな?」

「じゃあ、火曜日の放課後はどうです?」

こうして、愛莉と約束を交わし、僕は席へと戻った。

席に戻ると、佳澄が待ち構えている。

「森岡君、連絡先を教えて」

「あ、はい……」

佳澄には長谷田に通う先輩女子を紹介してもらう事になっていた。

僕たちは連絡先を交換した。

「さっき、先輩にメッセージを送ったのよ。 さっそく会いたいって」

「月曜日のお昼休みに、私が長谷田に行くから、そこでご対面ってことで良い?」

「ええ、でも石井さん、自分の講義は?」

理系は、文系と違って簡単には講義はサボれないので、僕は心配した。

「いくら理系でも、一年生だと、結構融通が利くのよ。 先輩には凄くお世話になったの」
「だから、彼女の役に立てるなら、お安い御用よ」

なんだか、佳澄が近所の世話焼きおばさんに見えてきたが、僕に新しい出会いの予感はした。




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