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不倫研究サークル

第12章 女社長

「へ~、結構、綺麗な所に住んでるんだね」

僕の部屋に入ると、愛莉は、部屋を見渡して、そう言った。

女の子をこの部屋へ入れるのは、小梢が来たとき以来だ。まだ癒えていない傷が、ズキンとする。

「わたしの他に、誰か入ったこと、あるの? この部屋」

愛莉は、まるで何度も入ったことのある部屋であるかの様にくつろいで、テーブルの脇に座り、コンビニの袋からビールを二缶取り出した。

(やっぱり、飲むのか)と内心、舌を巻く。

「一人だけ……、一か月ほど前に」

「ふ~ん、カノジョ?」


僕は、無言で首を横に振った。

あまり触れられたくない。


「ま、いっか。 わたしには関係ないし。 さ、飲もうよ」


「あの……、酔っぱらったんじゃないんですか?」

「うん、だから、これ飲んだら寝るよ」

「シャワー浴びなくても大丈夫ですか?」

「う~ん、やっぱり、この時期、臭うかな?」

そう言うと、愛莉は自分の肩を寄せてクンクンとさせた。

「やっぱり、臭うね 笑」
「やっぱり、シャワー貸して。 でも、着替えがないから、これをそのまま着ることになるし、やっぱり臭いままなんだよね」

「だったら、僕のトレーナーを貸してあげますから、それを着てください」

「そう? じゃあ、お言葉に甘えて。 あ、ついでにタオルもお願い」

僕がタオルを渡すと、愛莉は浴室へと消えていった。

暫くすると、シャワーが流れる音がした。小梢がシャワーを浴びていた時、心を落ちつかせるのに、必死だったのがウソのように、落ち着いていられた。

愛莉に、その気がないのは分かっていたし、僕も空気は感じ取っているから、間違いは起きないと思っているからだ。

(だったら、なぜ愛莉はコンドームを買っていたのだろう?)

少し謎ではあった。

暫くすると、愛莉は僕のトレーナーを着て、浴室から出てきた。

「やっぱり、男の子なんだね、見て、ブカブカ 笑」

この時、僕は愛莉の変化に気づく。なんとなく冷たいと感じていた目が、今日だけでも随分と柔らかくなった気がする。

実際、ニコリと笑う愛莉が、いっそう可愛く感じられた。




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