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不倫研究サークル

第16章 卒業

「ミカン先輩、ご無沙汰してます」

『森岡、アナタ、いま何時だと思ってるのですか?』

「あれ、そっか……、時差があるんでした、そっちは何時ですか?」

『もううすぐ日付が変わりますよ』

「すみません、久しぶりにミカン先輩の声が聞きたくなりました」

『まあ、良いでしょう。 ワタシも森岡の声が聞きたいと思っていたところでした』

「ミカン先輩、僕にも、やりたいことが、目標ができました」
僕は、美栞に思いの内を語った。

『なるほど、森岡らしい発想ですね。 それにしてもそんな過去があったとは、アナタ、ワタシに内緒にしてましたね』

美栞に土門華子に関わる一連の事を話したのは初めてだった。

『卒業まで実質二年ですね、単位を取るのも大変だと思いますが、森岡なら大丈夫でしょう。 ワタシが好きになった男ですから』

「ありがとうございます。 ミカン先輩に言われると自信がつきます」


夏休みももうすぐ終わる。僕は東京に戻ってっから、自分の目標に向けて何が必要なのか整理していた。

通常なら、二年次からの三年間でやらなければならない事を、僕は三年次からの二年間でやろうとしている。

おそらく、これから卒業するまで時間は、少しでも無駄にできないくらい忙しいだろうと覚悟していた。


それに、愛莉の事も放っておけなかった。

今日は、そのために綾乃と会う事になっている。
カテマッチの運営の仕事を愛莉に引継ぎ、彼女の仕事を確保しようというのが、僕の思惑だ。うまくいけば、愛莉の生活も安定する。

身支度を終え、僕は久しぶりに綾乃のマンションへと足を向けた。彼女の部屋へ入るのは、愛莉と付き合い始めてから綾乃と身体の関係を断って以来だ。

「圭君……、きっと戻って来てくれると思ったわ」

部屋に入るなり、綾乃がすり寄ってくる。

「綾乃さん、今日は、そんなつもりじゃ」と言いつつも、つい、綾乃の肩を抱いてしまう。

「分かってるわ、でも、これくらいのスキンシップは許して」

綾乃からは、いつもより濃いめの香水の匂いがした。愛莉を最後に抱いて以来、女性を感じるのは久しぶりで、たちまち僕の欲望が理性を狂わせそうになる。

「あ、あまり近すぎると……、話ができません」

「んふ、じゃあ、手を離して」




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