不倫研究サークル
第16章 卒業
「シャワー浴びて来るわ」
そう言うと、綾乃はベッドから抜け出してシャワールームへと消えていった。
一人ベッドの上で天井を見上げながら、どう綾乃を説得するか、考えを巡らせる。
暫くすると、綾乃はシャワールームから出てきて、僕にもシャワーを浴びて服を着ろと言う。僕は素直に従った。
僕がシャワーを浴びて戻ってくると、綾乃はテーブルに座っている。ワインが入ったグラスが二つ、用意されていた。
「圭君は、あまり飲めないのは知っているけど、付き合って」
「はい、いただきます」
テーブルの向こうの綾乃は、厳しい表情をしている。完全に仕事の顔になっている。
「ねえ、私が今、どんな心境だか分かる?」尋問調の言い回しだ。
「その、川本さんが妊娠したのには、仕方のない理由があるんです」
僕は、愛莉が妊娠した経緯を話した。
「それは、気の毒だと思うし、その、相手の男に腹も立つわ、でも」
綾乃の言いたいことは予想がついた。綾乃との関係を断つことの原因でもあるのだから、愛莉は。
「男を取られたのよ、彼女に、こんな屈辱を味わったのに、その相手を助けろって言うの?」
「助けろとは言ってません。 後任として推してるだけです。 彼女が有能なのは綾乃さんだって知ってるはずです」
綾乃は、ワイングラスを揺らしながら、思案しているようだった。
「確かに、人手は必要だし、川本さんなら適任だと思うわ。
今度、三人で話しましょう。 私は前向きに考えてみるわ」
「ありがとうございます!」
「でも、そんなに川本さんの事が大切なら、圭君が引き取ってあげれば良いのに」
「子供だって、今なら戸籍上は圭君の子供にできるじゃない」
綾乃は不思議そうに僕を見つめる。少し目が寂しそうだった。
「それは……、提案してみました。 でも、拒否されて、僕たちは友達に戻る事にしたんです」
「なんで? 川本さんも圭君のことが好きで、この先もずっと一緒に居られるのに」
「僕の負担になりたくないらしいです。 それに、子供も僕の本当の子供じゃないし、複雑なんです」
愛莉の妊娠が分かった日、散々話し合って決めた事だが、僕だって納得している訳ではない。
そう言うと、綾乃はベッドから抜け出してシャワールームへと消えていった。
一人ベッドの上で天井を見上げながら、どう綾乃を説得するか、考えを巡らせる。
暫くすると、綾乃はシャワールームから出てきて、僕にもシャワーを浴びて服を着ろと言う。僕は素直に従った。
僕がシャワーを浴びて戻ってくると、綾乃はテーブルに座っている。ワインが入ったグラスが二つ、用意されていた。
「圭君は、あまり飲めないのは知っているけど、付き合って」
「はい、いただきます」
テーブルの向こうの綾乃は、厳しい表情をしている。完全に仕事の顔になっている。
「ねえ、私が今、どんな心境だか分かる?」尋問調の言い回しだ。
「その、川本さんが妊娠したのには、仕方のない理由があるんです」
僕は、愛莉が妊娠した経緯を話した。
「それは、気の毒だと思うし、その、相手の男に腹も立つわ、でも」
綾乃の言いたいことは予想がついた。綾乃との関係を断つことの原因でもあるのだから、愛莉は。
「男を取られたのよ、彼女に、こんな屈辱を味わったのに、その相手を助けろって言うの?」
「助けろとは言ってません。 後任として推してるだけです。 彼女が有能なのは綾乃さんだって知ってるはずです」
綾乃は、ワイングラスを揺らしながら、思案しているようだった。
「確かに、人手は必要だし、川本さんなら適任だと思うわ。
今度、三人で話しましょう。 私は前向きに考えてみるわ」
「ありがとうございます!」
「でも、そんなに川本さんの事が大切なら、圭君が引き取ってあげれば良いのに」
「子供だって、今なら戸籍上は圭君の子供にできるじゃない」
綾乃は不思議そうに僕を見つめる。少し目が寂しそうだった。
「それは……、提案してみました。 でも、拒否されて、僕たちは友達に戻る事にしたんです」
「なんで? 川本さんも圭君のことが好きで、この先もずっと一緒に居られるのに」
「僕の負担になりたくないらしいです。 それに、子供も僕の本当の子供じゃないし、複雑なんです」
愛莉の妊娠が分かった日、散々話し合って決めた事だが、僕だって納得している訳ではない。