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不倫研究サークル

第5章 初デートはホロ苦く

水族館を出て、僕たちは江の島の方へ向かった。

「うわ~、富士山があんなに大きく見える」

国道と江の島を結ぶ歩道橋を歩きながら、右手に見える大きな富士山を指さした。

「ほんとだ、凄い大きく見える。頭の方にはまだ雪があるね」

歩道橋で立ち止まり、僕たちは大きく見える富士山をバックに写真を撮った。
いつものように小梢が撮って僕に送る。

いつしか、こうやって撮った写真が僕のスマホに蓄積されていた。

(今日、本物の恋人になって、これからもずっとアルバムを増やしていくんだ)

僕は決意を新たにする。


江の島に渡ると、江の島神社の入り口は観光客でごった返していた。

「す、すごい人出だね……」

有料のエスカレーターで上の神社まで行けるのだが、そこも長蛇の列になっている。

「待っている間に、歩いて行けば上に行けるよ。歩いて行こう」

小梢はそう言ったが、彼女は服装に合わせてパンプスを履いている。上までかなり階段を上らなきゃいけないが大丈夫だろうか?

「大丈夫かな? 歩ける?」ちょっと心配な僕。

「大丈夫だよ。わたしたち若いんだから、歩こう」
そう言うと、小梢は僕の手を握り階段を上り始めた。

こうやって、さりげなく手を握れることが、僕は嬉しかった。

思わず、小梢のてを強く握ってしまう。

小梢も、応えるかのように握っている手の力を込めた……。




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