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不倫研究サークル

第6章 一触即発

「じゃあさ、学校の先生が生徒に『授業だ』って言ってキスしても良いの?」


(くっ! 相変わらず屁理屈を!)

ダメだ、陽菜は『ああ言えば、こう言う』タイプのめんどくさい相手だった。
何とか打開策を見出さないと……。


「そういう陽菜は、どうしてキスしたんだ?」


「言ったじゃない。 圭が好きになったって」

「それは……、聞いたけど。 なんで好きになったんだ?」

陽菜が立ち止まり、ヤレヤレと言った表情で目を細める。

「じゃあさ、圭は何で、あのカノジョが好きなの?」


「う!?」


「な、何でって……」

そうだ、どうして僕は小梢を好きになったのだろう?

僕も立ち止まり、「う~~ん」「う~~ん」と考えてみる。


「そうだな、気が付いたら好きになっていた……のかな」

そうだ、僕はいつの間にか小梢のことが好きになっていた。その理由なんて言葉では説明できない。

誰かが言った。

『恋はするものでなく落ちるものだ』、と。


「陽菜、君はそんな事だから、”子供”なんだよ」

「恋はするものでなく落ちるものだ、よ」

「気が付いたら、その人のことが好きになっていた。 それが恋のハジマリなんだよ」

(これは、陽菜もぐうの音も出ないだろう。最適解だ!)


「そうだよ、私も、気が付いたら圭のことが好きになってたの」


(……)


墓穴を掘ってしまった。




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