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秘蜜のバイト始めました

第1章 え? 聞いてませんが?

暫くすると、立花は愛想を振りまきながら部屋に入ってきた。

「やあ~、来てくれて、ありがとう、えーと、紗栄子ちゃんだったかな」

今日の目的も告げず呼び出して置いて、いい気なものだと怒りがこみ上げてくるが、それよりも不安の方が大きい。

私は、怒りを抑えつつ、先ずは挨拶を済ませる。

「こんにちは、立花さん」
「あの、わたし、今日は面接だけだと伺っていたんですけど」


「うん、うん、わかってるよ、モモちゃんが余計な事を言ったのかな」

「確かに撮影の予約は入れてるけどね、紗栄子ちゃんが絶対に出なきゃいけないものではないから」

「何せ、仕事は次から次へと舞い込んでくるものだから、とにかく忙しくてね」
「面接が終わって直ぐに出演したいなんて子のために、同時に撮影のスケジュールを組んじゃうんだよ」

「もちろん、紗栄子ちゃんが嫌なら、今日はこのまま帰って貰っても結構だから、気にしないでよ、代役も用意しているし」

(代役って、杏果さんのことか……)彼女に出演させるのは気が引けたが、私も出演したくない。

「はい、わたし、アダルトビデオなんて無理ですから、すみません」


「うん、うん、良いよ良いよ、そう言う子も多いからね」

「とりあえず、これ、交通費ね」

そう言って立花は封筒を渡した。




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