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悪魔から愛されて

第20章 ライバル



やだ…どうしよう…携帯電話も、持ってきてないし…



でも、お客様が来ればカギは開くよね…



私は仕方なく椅子の座り、誰か来るのを待つしかなかった…




カーテンが5センチほどの窓から、僅かの光に不安は大きくなる…



…どれくらい時間が経ったのだろう…




…お客様も来る気配もない…




…窓の光もそろそろ夕方の光になって来た…




…助けて…




…圭吾…




でも、確か一日不在って言ってた…




…こんな最上階の会議室…誰も来ないよ…




…空調が止まっているようで、部屋はかなり寒くなって来た…




…助けて…寒い…恐い…




…さらに時間が過ぎて…外はすっかり暗くなってる…




…私は寒さと恐怖で涙が流れて来た…




その時、廊下で誰かの話し声が聞こえて来た…
…誰か来る…助けて…

“こんな遅い時間に、申し訳ありません。急ぎのお話が合って…“
お客様が話している声だ

…助かる…


“カチャ、ピー”




…ドアが開いた…




そこに入って来たお客様は…



「さ…早乙女…さん…」
早乙女さんは、会社の役員と一緒に応接室に入って来た。

「鈴木さん…大丈夫かい?」
早乙女さんの顔を見ると、大粒の涙が止められないほど流れ出した…

会社の役員は、驚いた眼で私を見ている…

早乙女さんはその役員に向かって笑みを浮かべた…
「やはり今日は遅い時間なので、用件は後日にします。こちらの女性は知り合いなので一緒に帰りますね…」

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