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悪魔から愛されて

第22章 旅行



どのくらい時間が経ったのだろう…


さっきまで明るかった部屋は、夕日でオレンジ色になっている…

「圭吾!大変…函館の夜景!」

眠そうな圭吾の瞼がゆっくり上がった…
吸い込まれそうな深く黒い瞳に、オレンジの光が美しく反射する…
眩しそうに眉を寄せる表情に、胸の鼓動が早くなる…

「…あぁ、そうだな…恵美が楽しみにしてた夜景だからな…」


私は龍崎さんの顔をじっと見つめていたようだ…

「…恵美…どうした…」
「…う…ううん、何でもない…圭吾綺麗だなぁと思って…」

龍崎さんはクスッと笑い出した…
「それは、男の台詞だろ…」
「…だって、本当に綺麗なんだもん…」


私達は夜景を見るために、ロープウェイに乗っていた。
夜のロープウェイは恋人達でいっぱいだった。

ロープウェイを降りて、展望台に出ると…
「…圭吾、凄い…夜景が…宝石箱みたい…」
「…あぁ…そうだね…本当に綺麗だ…」
キラキラと輝く夜景を見ていると、自分が空を飛んでいるように感じる…


突然、龍崎さんは私の左手首を掴んだ…


驚いている私に微笑ながら…
薬指に何かを差し込み、指に口づけた…



「…っえ…圭吾…?」



口づけられた指を見ると…

光る石のリングが輝いていた…

私は急に涙が溢れて、夜景も龍崎さんも揺れてよく見えない…

龍崎さんは親指で私の涙を拭って、真っ直ぐ私を見つめた。

「…恵美…遅くなったけど…受け取ってくれるかな…」
「…圭吾…はい、もちろんです…」
「恵美をたくさん悲しませたけど、これからは幸せにしたい…」
「…圭吾…私は今、とっても幸せです…」


額に落とされた優しい口づけ…


…圭吾…ありがとう…貴方を愛しています…




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