悪魔から愛されて
第26章 体調が悪い
父は静かに話し始めた…
「…私は二人が決めたことに反対はしません。でも一つだけ…あなたには言いたいことがあります。」
「…はい。」
「…恵美は妊娠していると聞いています。順番が逆ですね…」
「…はい。申し訳ございません。」
「…でも…貴方なら…恵美を幸せにしてくれると信じます。」
「…はい。必ず幸せにすると誓います。」
父は圭吾に笑顔を向けて頷いた。
「…恵美をよろしくお願いしますね…」
私は涙が止まらない…
“…よかった…父も微笑んでくれた…お父さん、お母さん…”
私は思わず、圭吾に抱き着いていた…
圭吾も、目に涙が溢れていた…
横に居た真美が、割り込むように話始めた…
妹は昔から、姉である私が大好きなことは知っている。
恐らく圭吾にやきもちもあるのだろう…
「ゴホッ、ゴホッ…お姉ちゃん!みんなの前でイチャイチャしないでよ…見てる方が恥ずかしいよ…」
圭吾は真美に向かって微笑んだ…
「…真美ちゃん、これからよろしくね…僕もこんなに可愛い妹が出来て嬉しいよ…」
圭吾が、真美の頬にそっと手を添えて話をすると、真美は恥ずかしそうに俯いてしまった。
父も母も喜んでくれている…
…ありがとう…
圭吾は結婚式を早めに行う約束をして、挨拶は無事に終えることが出来た…
家の玄関で両親が見送りをしてくれていると…
妹の真美が何か箱を持って走って来た…
「お姉ちゃん!待って!」
振り返ると、真美が半透明な少し大きな箱を私に手渡してくれた…
「ねぇ…開けてみて…!」
真美に促されて箱を開けると…
ブリザーブドフラワーで作られた、白い花々で統一されたブーケが入っていた。
ブーケの持ち手の部分に真美のメッセージも刺繍してある。
「…真美!これは…真美が作ったの?」
真美は得意げな笑顔を私と圭吾に向けた…
「うん…一年位前からお教室に習いに行ってたの…お姉ちゃんのブーケは私が作りたくてね…」
「…真美…ありがとう…」
私は今日、泣いてばかりだった。
「あっ…お義兄さんのブートニアももちろんあるからね…」
圭吾も嬉しそうだ…
「…真美ちゃん、ありがとう…嬉しいよ…」