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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第2章 担任、井田春斗のクラス

「おおまかに言うと、『自分の体を大切にすること』です。みんなの体はみんなにしかない。だから、その体を大切にしてほしい」

わたしは、生唾を飲んで、俯いた。
『体を大切にすること』
井田先生の言葉が頭の中で響く。
わたしは、わたしの体を自分自身で守りきれていない。今朝、母の恋人に殴られたみぞおちの辺りが思い出したようにキリキリと痛んだ。

自分で大切にしようと思っても、誰かから大切にしてもらえないときは……どうすればいいんだろう。
救いが欲しくて、ゆっくりと顔を上げた。
井田先生と目が合って、また俯いてしまう。

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