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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第2章 担任、井田春斗のクラス

「はい、書けた人から提出してね〜」

井田先生がそう言うと同時に、チャイムが鳴り、みんなが一斉に席を立つ。ペンを持ったまま、ノートに一文字も書けずに席に座っていると、わたしの席に井田先生が近づいてきた。

「白河さん、忘れちゃったかな?」

声をかけられて、ビクッと肩を震わせる。
わたしは腕でノートを隠しながら、困った顔を隠しきれないまま、笑顔をつくった。

「……はい」

井田先生は穏やかな顔のまま、わたしのことを見下ろすと、ゆっくりと、こう告げてきた。

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