優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第2章 担任、井田春斗のクラス
「思い出せるところでいいから、書いてくれる? もうチャイム鳴ったから、後で預かる。昼休み、保健室に持ってきてくれるかな?」
「……保健室……?」
意外な場所で不安な表情を、つい晒してしまう。
それを敏感に察した井田先生は、笑いながら言った。
「大丈夫、君は何も悪いことしてないよ。ちょっとゆっくり話せる場所が保健室なだけ。じゃあ、昼休みにね。ご飯食べてからで大丈夫だから」
そう言うと、井田先生はわたし以外のクラス全員分のノートを手で抱えて、よろっと廊下に出ていった。
既にもう、「先生!手伝います!」と生徒が何人か井田先生の後を追う。
ゆっくり話す……??
何かを心にひっかけながらわたしは白紙のままのノートを見つめたが、偽る意味もわからない。
どうにでもなれと思いつつ、わたしは夕食の欄に、小さな文字で『カップラーメン』と書き込んだ。ノートにペンを立てた時、震えて上手く力が入らず、貧弱な文字に相応しい単語になってしまい、わたしは苦笑いを浮かべた。
「……保健室……?」
意外な場所で不安な表情を、つい晒してしまう。
それを敏感に察した井田先生は、笑いながら言った。
「大丈夫、君は何も悪いことしてないよ。ちょっとゆっくり話せる場所が保健室なだけ。じゃあ、昼休みにね。ご飯食べてからで大丈夫だから」
そう言うと、井田先生はわたし以外のクラス全員分のノートを手で抱えて、よろっと廊下に出ていった。
既にもう、「先生!手伝います!」と生徒が何人か井田先生の後を追う。
ゆっくり話す……??
何かを心にひっかけながらわたしは白紙のままのノートを見つめたが、偽る意味もわからない。
どうにでもなれと思いつつ、わたしは夕食の欄に、小さな文字で『カップラーメン』と書き込んだ。ノートにペンを立てた時、震えて上手く力が入らず、貧弱な文字に相応しい単語になってしまい、わたしは苦笑いを浮かべた。