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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第7章 隠しきれないもの

早乙女先生は、そこまで言うと、表情を明るくした。

「……まぁ、治療の話はここまでかな」

「ありがとうございました」

2人揃って頭を下げる。
早乙女先生はふっと笑いながら咲の横顔をみて、俺と春斗に向き直った。

「澤北も井田も……この子の親みたいだね。特に澤北は、なんかお父さんみたいになっちゃって」

そう言われて、俺は苦笑いを浮かべる。

「いや、親だなんて……。保護者はやってますが、なかなか務まりきりません。正直、井田が居ないと回らない」

俺は、本当のことを口にした。
春斗が居ないとどうにもならない。
居てくれて良かったと、心から思う。

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