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NOMAD メガロボクス2

第3章 バシッ

試合終了後に少女はきげんのよさそうな客に選手用の出入口を教えてもらうとそっちに向かった。なぜかはわからない。ただチーフともう少し話してみたい、しいて言えばそれだけだ。



試合に出場してたせいか熱血男と違ってチーフは落ちついてるように思えたしそれがかっこよく見えた気がした。それが少女の関心をひいたのかもしれなかった。


渋みがあるけどうれしげに女の喜ぶセリフをしゃべる一面もよかったのかもしれない。ただもし少女が同じセリフを言われたとしても



(……なに言ってんだかいいトシして)



と思うだけだが。そんなことを考えてると裏口の通路を見つけた。たぶんだがここを通ってボクサーたちも帰るはずだ。会場のなかと違って深夜11時の時間帯なのも手伝ってプルオーバーにジャケットの軽装で防寒対策もろくにしてない状態では冷えがだいぶこたえてくる。



30分ほどたったのかはわからないがしばらくして帰るためにライトブラウンの革ジャケットをはおるチーフの姿が通路に現れた。



まのあたりにするとバーで歌ってたときと試合あとの今とではいささかギャップがあるように思えた。少女はかける声が見あたらず立ちつくすだけだった。チーフは


(さっきの娘かよ、だれか待ってんのかねえ…)



と不思議に思ったが娘のわきを通りすぎた。



「さ、さっき…」



そのときに少女は思いきったのだろう、とりあえず声をかけた。チーフは自分に用があるとは思わず少女のいるほうを思わず振り向いた。



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