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NOMAD メガロボクス2

第3章 バシッ

やがて試合がはじまる時間になるとメガロボクサーの2人がリングに入場する。1人は細マッチョなジョー。もう1人は太マッチョなチーフだ。女の客が



「チーフ〜がんばって〜」



とリングサイドの通路にきて呼びかける。すると愛想よく


「やあお嬢さん、今日の勝ちをあんたに捧げるぜ」



と目当ての男にこたえてもらい女の客ははしゃぎまくってる。



ファンならはげましたいのはわかる気がするが。おくげもなくこたえるのがわからない。少女は思わずずるっと椅子から落ちそうになるぐらいに拍子ぬけした。



やがて試合開始のゴングが鳴るとチーフも顔をひきしめてファイティングポーズをとる。ジョーは黙って身がまえてる。



売り場で試合は3ラウンドまで行われて10カウントを過ぎても立ち上がれないボクサーの負けだと教えてもらった。



2ラウンドまでは小手調べといった調子でお互いの出方を見ながら牽制しあう。3ラウンドになるとだいぶ相手の動きを読めたらしく打ち合いになってきた。



ジョーが何回かパンチをくり出すとチーフはディフェンスをするので手一杯といった具合だ。お互いに腹やあごなどに打撃が当たりながらノックアウトを狙えるタイミングを見はからってる。



だいぶ時間がたってきたしそろそろ両者も決着をつけたいだろう。ジョーの右ストレートを頭にくらったチーフが衝撃で脳しんとうをおこしヨロけたかのように少女には見えた。



だが実際はそう見せるようにチーフは打ち合わせてた。要はジョーのパンチが軽くともフラついたように見せるのがチーフの役目だ。



そのあとはジョーの勢い勝ちといってもいいだろう。チーフは反撃もむなしく10カウントをすぎても起きあがれずにリングに沈みジョーの勝ちで試合は終わった。



ただジョーのような純粋に実力にこだわるタイプは事前にイカサマをすると聞かされても納得しない。だから彼には知らされずに試合が行われた。



あとできげんの直ったチーフから非合法な賭博試合とはそういうもんだと聞いた。八百長(イカサマ)がらみとはいえ承知のうえなので試合後にまでからんでこないと。


ましてや赤っ恥をさらしたあとでかみついてくるようなバカはめったにいない。よっぽどの命知らずでない限りは。



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