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NOMAD メガロボクス2

第7章 バキッ

荒れ地から大人たちがジョーのバイクを運んできたのを見かけたミオが



(部品をカネにできるな…)



と目をつけてバイクを解体した。が、息子の悪さに勘づいたマーラに見つかり叱られたそうだ。



ジョーはもともと口数が少ないほうだがいきなりの事態にミオをぼう然と見るだけでなんにも口から出ない。



チーフもミオがわが子ではないのでマーラに口出しするわけにもいかずに気まずそうだ。



レイはここ数日マーラとミオの家庭を見てきたがミオとマーラは母子家庭らしく父親はいないようだ。そのあたりのミオなりのいいぶんもありそうだが。



そうしてると街の入り口付近でなにやら大人たちが何人か集まってる。みんなで様子を見に行くと



「ここの土地代を払ってもらおうか」



黒いスーツに身を固めた男が3人ほど来て住民と話してる。だが招かれざる客のようでカーサの人たちと言いあってる。



「まだ期限は先のはずだ」


そう言いはる住民の男性たちは10人ほど集まり



「そうだ、そうだ」



と口々に言うが



「こちらの事情が変わったのでね、早いうちにすませないと競売になるよ」



いちばんえらそうな上役らしいチャラい中年男が押しつけがましく言ってくる。行くぞと部下のスーツ男3人に告げて車に乗って立ち去った。



くやしいが立つ瀬がない住民たちは車を見送るしかできないままだ。



「いまの話って……?」



レイがマーラに聞くが元気がないらしく返事はかえってこない。



「……オレたちはここの土地を借りてる」



チーフが続いてあきらめたように説明してくれる。



「わしらにはほかに行くところがない。かといって払えるだけの金を用意できん」



70代ぐらいのじいさんがそう教えてくれる。もともとカーサの土地は遊園地の跡地だったのを所有者の好意で移民たちに安い土地代、いわゆる格安な借地として貸してもらってる。



だがその所有者が亡くなり、カーサの人々は土地を買える資金がそろわない。つまりは土地代が払えないと居住権(土地に住む権利)が住民たちにはなくなってしまうことになる。



そうなればカーサの土地だとは言えなくなるし、もし競売で負けて人手にわたったら立ち退き、いわゆる引っ越しをさせられるのだ。


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