テキストサイズ

無人島行ってみた話

第10章 いざ、港へ

とにかく、二人が乗れるくらいのイカダ風の物を、木材を集めて、拾ったロープで組み合わせ、作りましたよ。もう、昼を余裕で過ぎてました。

で、オールがあったんですよ。砂浜に。

たぶん、カヤックカヌー用のパドルだと思います。流れてきてたんでしょう、これはラッキーでした。

こんなつまらんとこにいてられるかって、桂木さんは何度も呟きながら、出来たらさっさと出航と、リュックを背負って、イカダに乗りました。

桂木さんが前で僕が後ろ。

そして、いざ出航……約十メートルあたりで、崩れて転覆。

たいしたものは入ってないが、リュックがぐずぐずになり、中に入れた財布も、財布の中のお札も、しっかり濡れました。

ただ、全身ずぶ濡れになっただけというね。

簡単に書いてますがね、乗ったイカダが崩れて、海にハマるとパニックになりますよ。

慌てて、発泡スチロールを抱えました。


そのままプカプカ浮いてたら、波が勝手に島まで送り届けてくれましたよ。ありがとう。


ようやく足がとどく辺りにくると、桂木さんは砂浜まで一気に泳いで、そのまま横になり、空に向かって「アホーーッ!」と叫んでた。いや、計画したのあんただろ!

なにもする気が起こらず、小さな木陰に入って横になってた。ほんま、疲れきってました。シャツと靴を干してパンいちでうつうつ。

で、どのくらい時間がたったのか、遠くから男性の声がした。桂木さんが気付いて、僕に声をかけた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ