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仔犬のすてっぷ

第16章 潜入!ボーイズ・バー


扉の向こうへ、足を踏み入れると・・・


広い空間が広がっていて

ホール…と呼べるほどではないけれど、意外と天井は高く、綺麗だけど控えめなシャンデリアが下がっていて、お酒が呑めるお店の割には店内は明るい。

 扉側から見て、真正面には壁に埋め込まれた巨大な水槽があり、エンゼルフィッシュやディスカスなどの中型熱帯魚が泳いでいる。
 その水槽の前には小さなステージみたいな場所があり、お客なんだろうけど二人組の女の子達が、何人かの店員と一緒に楽しそうに歌っていた。


 扉側から左右に長椅子がキレイに並べられていて、観葉植物で仕切られ、隣のブロックが気にならない様に気配りされているみたいだ。
 右側の3、4人グループの女子達が、同じ人数のイケメングループと楽しそうに会話しながら盛り上がっているのが此処からは見えた。

 左側は中央に大きなテーブルがあり、長椅子だけではなく、立食しながら話が出来るスペースがある。
 そこにはビュッフェ式に料理やドリンクが用意されているようで、何人かはおのおのお気に入りの店員とペアになって食事を楽しんでいる様だった。

(店内は明るいし…キャバクラ・スナックとは雰囲気が全然違うなぁ)

 以前、森川店長に連れて行かれたキャバクラは、タバコとお酒と化粧品の臭いで頭がクラクラするほど酷かったんだけど、ココはそんなイメージからは程遠い、健全そうな空間に感じられる。


「このフロアは一般的な、キャバクラベースの、気楽に遊びに寄れるスペースよ。
女性客が安心して過ごせるのがウリの場所で、料金も、店員もリーズナブル・・・まあ、いわゆる表の顔ってところかしら」

そう説明しながら歩美さんは右側斜め下を見ながら

「お金を追加して会員様になれば、個人同士で・・・つまり、一対一対応のサービスが受けられるようになるの、それがそちらの半地下のスペースね」

歩美さんにそのままついて行くと、個室ドアが十個並ぶ半地下スペースが見える。


「基本、二人の世界を楽しむ為の場所がココ。ただし、お触りや、特別サービスの要求は原則禁止の場所だからね。
店員のスキルで次のステップへ誘う・・・さらに料金アップでもっと親密になりたいって思わせるための誘惑を仕掛ける場所でもあるから、ココはそれなりにウデのある子が入るトコロね♡」


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