テキストサイズ

仔犬のすてっぷ

第27章 仔犬達のラストワルツ 蒼空VSトーマス


「………何よ?何か下が騒がしくなって来たわね……」

 明美が下の様子を気にして優希から視線を外し、窓の方を向く。
優希はそのタイミングを見逃さなかった。


「ーー はっ!」

ベッドの弾力を利用して一気に間合いを詰め、明美の肩と首の間辺りに振り下ろしの、打撃の力が中へ入り込むようなチョップを打ち込む。


「・・・あ……ゆう…き…………」

 明美は気を失ってベッドの上にどさっ…と倒れ込み動かなくなった。


「……ごめんね、明美さん。僕は貴女の“モノ”にはなりたくは無いんだ」

 なんとか力が入るようになった重い身体にムチを打つように、自分のお尻にばちいぃん!と平手打ちを入れてから立ち上がると、ヨロヨロと奈緒に歩み寄り、猿ぐつわを外してからロープを解きに掛かった。


「…優くん、身体は大丈夫?よろけていたけど・・・」

「…うん。大丈夫…って言いたいところだけど・・・まだ、いまひとつ力が入りにくいかな?」


自分の手を握ったり開いたりしながら見る優希に、奈緒はひしっ!と抱きついた。


「・・・変な事されて、苦しそうだったから……優くんが壊されちゃうんじゃないかって心配だった………」

「うん……まさか暗示をかけられていたなんて・・・自分でもびっくりしたよ。本当に壊されてしまうかと思ったけど、大丈夫。僕は僕のままだから」

 抱きついた奈緒の頭を優しく撫でて彼女をなだめながら、優希はさっき暗示に掛かる前の事を思い出してふり返る。

(……水滴が滴り落ちる音…明美さんの言葉……どっちも確かに覚えはあるけど……過去に経験、体験したものが今と重なったくらいで暗示に掛かってしまうものなんだろうか?)



「・・・・・ねえ?優くん……」
「……どうしたの?奈緒ちゃん?」

「あ……あのね?さっきから……その…優くんの…もにょもにょ…が………その〜…当たって……いるんだけど………」


もにょもにょ、という部分は聞き取れなかったが、優希は奈緒が伝えようとしていた事に気が付いて慌てて彼女から離れた。

 暗示の効き目は切れているようだが、感覚増幅剤の効果は未だ切れておらず、さっきまでセックスしていた彼の逸物は元気なままだったのであった。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ