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仔犬のすてっぷ

第27章 仔犬達のラストワルツ 蒼空VSトーマス



「ご、ご、ごめんっ!」

 とりあえず両手を前に被せて隠そうとするが、イク寸前まで追い込まれていた彼の分身は簡単には収まらず……
奈緒に指摘され意識したせいかますます自分を誇張し、脈を打ち、熱り立ってしまう。


(……うわ〜…こんな状態のをモロに奈緒ちゃんに見られちゃった……は、恥ずかしい・・・)

 ついさっきまで、もっと恥ずかしいモノをタップリと見られていた事は優希の頭の中には無いようである(笑)

 とりあえずワイシャツを着てみたが、ビミョーな感じに隠しきれない事に気が付き、それならば、と自分のパンツを履こうとしたが………

(……あう(汗)治まってくんないとパンツも履けないじゃんかあ〜!)

 またまだヤルキ満々の優希のアレは、パンツを履く事すら許してくれないようで…ゴムに引っ掛かってそれを拒絶する。


「……優くん・・・はい、これ………」

……今更のような気はしないでもないが、奈緒は手で目隠ししながらベッドの上に何枚か敷いてあったバスタオルを一枚、優希に手渡した。

 それを受け取った優希は素早く腰に巻き付けて、ふうっ…と安堵の溜め息をついた。
アソコが誇張する状態には違いは無いが、見えなくなった分だけいくらかはマシな状況になったと言えるだろう。


「………さて…。下は……確かトーマスとサラさんが居たんだよね。騒がしくなったって事は、誰かが助けに来てくれたのかもしれない」

優希は奈緒の手を取ると、二階の事務室の窓から下を覗いてどんな様子なのかをうかがってみた。


「・・・・・・」

 工場の出入り口近くには、知らない女性が二人いて、中央当たりには倒れている森川店長とそれを幸ご介抱している様子が見える。
 そこから少しこちら側にはサラが知らない誰かを捕まえて高笑いしていて、その少し横に倒れているアキラと、そしてこちらの階段下付近を、剣を携えたカリームが険しい表情で見つめているのが覗えた。

カリームの視線の先……この事務室から下へのびる階段の下に視線を送った優希は息を飲んだ。


・・・蒼空とトーマスが、激しく戦っている最中だったからである。

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