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仔犬のすてっぷ

第28章 仔犬達の・・・ 



「はい、タオル……今度は外れないように私がしっかり縛ってあげるね」

そう言いながら、僕の前で屈んでタオルを巻いてくれる奈緒ちゃんの顔が腰の前にある……って思っただけでイキりだすアソコが恨めしい。
……敏感にも程があるぞ、お前(汗)


「……ってな訳で、俺はアンタをすぐに倒さなきゃならなくなったんでな。マイハニーの為にフルパワーで行かせてもらうぜ?」

・・・・・なんだか邪な物が焚べられて、色がピンク系に変わりながら激しく燃え上がる蒼空のやる気の炎に面喰らう事も無く、トーマスから今までに無いピリピリとした圧力が発せられた。


「ああ……楽しみだ。何時でもいいぞ・・・」


(……うわっ?!
こっ…コレ……本物の闘気って、ヤツだ……)


 これに似た感じは、かつてじいちゃんが八極拳の奥義みたいなのを見せてくれたあの時……
叩いても蹴ってもビクともしない、神社のイチョウの大木の葉をたった一回突いただけで沢山散らせて見せた時に放った〈氣〉にとても似ていた。


「蒼空っ!気をつけて。向こうは本気だよ?!」

「・・・大丈夫だ。あんなモノに、俺達の愛の力は負けたりはしねえ!」


 怯むどころか益々やる気を滾らせて恥ずかしいセリフをさらりと言ってのけた蒼空に・・・

 普通なら呆れて「はいはい★」と手をひらひらさせながら軽くあしらうところなんだけど、何故か僕もこの時……

蒼空は勝てる!と根拠も無いのに僕もそう思ったんだ。


(……でも、相手の方が全部勝ってるんだ……勝つには虚を突くために……フェイントを!)

動き出すトーマスの身体のアチラコチラをしっかり見ながら、第三者の僕が的確に指示を出せば…


(……トーマスの左拳が動き始めて右手に力が流れてる……身体の軸が左に寄って来ているから…この距離なら膝が来るっ!)


「…ジャブを2回、左、右で出してから右膝が来るっ!軸足を狙って!!」




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