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仔犬のすてっぷ

第30章 共振



「・・・・・・OH?!ワシ………
今までなにしとったんやろ?」

頭から白い煙を立ち昇らせて霧夜が倒れた途端にサラさんが我に返ったようだ。


「サラ……すまん」

ぱんっ!

トーマスの平手打ちがサラの顔に当たって大きな音を立てる。


「え…?な、なんや?ワシ……」

ぱぱぱんっ!


「・・・俺がついていながら、お前が暗示にかけられてしまうとは……しっかり目が覚めるまでぶったたいてやるからな♡」

「な、なんや?ワシ、正気に……」
「と、トーマス??サラさんならもう正気に……」

 明らかにサラさんなら正気を取り戻しているはずなんだけど、トーマスはそれに気が付いていないのか、さらに平手打ちをしようと手を上げる。


「ゆるせ…サラ。お前の味う痛みは俺の心の痛みだ……一緒に分かち合おう♡」


「NOっ!わ、ワシ、もとにもどっとるって!ちゃんと、トーマスがせっかんしよーとしてるのわかってんよ?だからやめやあせええっ!」

「イヤだ…とりあえず、引っ叩いちゃる★」

ニヤリと笑うと、トーマスはサラに往復ビンタを始めてしまう。


「……オッサン……やり場の無い怒りを相棒にぶつけて解消しようとするのは止したほうがいいんじゃね?」

端から見ていれば、トーマスが折檻を楽しんでいるようにしか見えない。
流石に蒼空もちょっと気になったのか…一応彼に聞いたようだ。


「……半分はそれだが、もう半分はあれほど眼を見るなっつーたのに見てしまってドツボにハマったバカタレなプロへ、しっかり教育しなきゃならん。俺等の失敗は依頼主を傷つけたり、命に関わったりする事が当たり前だからな。
サラは普通なら解雇されても文句が言えない大失態をやらかしてるんだよ」


………プロ……。
ただの強い人じゃ無かったんだな、と考えさせられる単語だ。


・・・じゃあ……
僕等に負けたトーマスさんも……誰かが折檻をしてあげなきゃいけない……って事?(汗)




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