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仔犬のすてっぷ

第30章 共振


「……よくも…よくも…私を足蹴にしましたね?」

「あ、もう復活しやがった」

 今、まさに縛り上げようとしていた森川店長が、慌ててロープを締めようとしたが間に合わなかった。
がばっ!と跳ね起きた霧夜が、懐に手を入れながら森川店長から素早く遠ざかる。


「私の力は、こんなもんじゃないんですよ!
見せてあげましょう・・・私の〈L〉の力をッ」

ばばっ!と懐から財布を取り出し、札を何枚か握ると霧夜が叫んだ。


「……我が愛するものよっ!我が願いに応えよ!この世界でも我等の想いが健在な事を証明して見せてくれッ!!」

何か言い終わった途端、霧夜が握る札が灰のようになって飛び散り……


「………おまえ達…こっからが本番だぜ?
気をつけな。アイツもラビットの力を使うぞ」


すぅっ……と霧夜の身体が揺らいだかと思うと、いきなり森川店長の背後に現れ、同時に彼の体が弾き飛ばされた。


「……?!な、に?」

弾き飛ばされた先に、また霧夜が現れ、飛んで来た森川店長がまた弾かれる。


「が…っ?!」

「…まず、一人」

 弾かれた先にまたフワッ…と霧夜が現れ、両手を組んだ叩きつけをマトモに喰らい、木箱の山に激しい音を立てながら埋もれてしまった。



「・・・ちょっとマテ!何だありゃあ?!」

「ドラゴ○ボールZ見ているみたいな動きだ…」

 僕も蒼空もあまりの事に陳腐な感想しか出て来ない。


「……あれが奴の能力
 “イクイバレント・エクスチェンジ” 
自身の持ち金を、自分が望む力と交換する “力” だ」


お、お金と交換って・・・

つまり、力をお金で買っている……?!


「……金で力を買う?!そんな阿呆な!」

「ハッハッハッハッハ〜…
驚きましたか?コレが私の力です!
お金を愛し、お金に愛される…私だけの特別な能力なんですよ」


「お金を愛して…は、分からなくは無いが、お金に愛される……だって?」





そんなコトが……お金は生き物じゃ無いのに……?






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