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仔犬のすてっぷ

第30章 共振



「… “愛” と言っても色々あるのはあなた達も知っての通り。彼の愛は〈物欲の愛〉に属するモノね。
 お金を愛するあまり、金運まで味方につけて〈相思相愛〉状態になった……のかしら?
興味深い……」

 相田博士は腕組みしながら、興味津々な顔で霧夜を観察するように見つめている。


「私は金運で相思相愛になった訳では無い!子供の時から、すでに私はお金に愛されていたのだ。
理屈では無いんだよ!」


 霧夜は再び財布から札を何枚か取り出し、握るとすぐに札はサラサラと灰になって消えていく。


「こうして使っても、すぐに使った分は私の口座に入ってくる。
特にこの世界では株やマネーロンダリングで簡単にお金が転がり込む……。
システムさえ構築出来れば私に怖い物はない!
私の懐は寒くなった事は無いのだ!」


「……つまり、要約すると…
お金の為なら何でも悪さしてて、詐欺や恐喝なんかでお金をガッツリ稼いで、この力を使っている……って事かしらね。あんな奴に負けるなんて許さないわよ?モリリン」

「……か、簡単にに言ってくれる……今の見ただろ?ありゃ人間業じゃねえぜ?」

 幸お姉ちゃんに木箱の山から引っ張り出された森川店長は、見た目ほどはダメージを受けなかったようだが、それでも頭からは血を流し、すぐには立ち上がれないようだった。


「大丈夫…回復してあげるから……少しだけ待って」

 むぎゅっ!と抱きつかれた森川店長は、幸お姉ちゃんの豊かな胸に顔を埋められ、息が出来なくなって手をバタバタさせている。


「……俺達…たまにオーナーにああされた事があるけどさ……アレもラビットの力……だったのか?」

「彼女にはヒーリング能力があるけど……粘膜的接触をしていない場合は効果が薄いみたいでね…」

 なんとなく羨ましそうに見ている蒼空の横で、僕は彼の腕を抓ってやりたい衝動に駆られた。

……や、ヤキモチ…?僕…妬いてる?


「……と、兎に角だ・・・あんなのとどう戦えっていうんだよ?」

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