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仔犬のすてっぷ

第31章 激突する、LOVE IT


「私の…私のおおおっ!お金がああああぁっ!
あ…愛の結晶があああっ!!」

取り乱す霧夜を見ながら、蒼空は手を組んでペキポキパキッ★と鳴らし、


「じゃ、そろそろ終わりにしようぜ?俺は早いとこアンタを伸して優希を慰めてやりたいんでな」

と、やる気満々に闘気よりもヤル気満々でファイティングポーズを取る。

……やる気は良いけどヤル気はちょっと……控え気味にお願いします、蒼空センセ(照)


「僕達も加勢します!そろそろ片付けないと警察が到着して面倒なことになりますし……」

カリームとアキラもやる気でそれぞれが武器を構え、ファイティングポーズを取る。




「・・・・・・・・・。
いい気になるなよ……虫ケラ共が……。
まだ、手元にも、スイスの銀行にも私の金は残っているわ!
スイス銀行のは元の世界に戻るための大事なものだが…貴様ら全員を殺しても、帰るための金ぐらい残るのだ!」


「やはりお前はその力を使ってこの世界へ来たか。その力が等価交換なのは知っているが……世界移動にいくら掛かるんだ?」

…確かに、それは気になる情報ではある。
でも、彼はそんな事には答える気は無いだろう。
トーマスもそれが分かってて聞いているに違いない。

少しでも時間を稼ぎ、僕を回復させることが、霧夜がパワー全開で来た時の唯一の対処法になることが解っているからだ。


「それに答える義理はありませんね。何しろ今の私には後が無い。遊びは終わりにしましょう」

そう言うと、彼はジャケットの袖を無理やり引きちぎった。
引きちぎられた袖口から何枚か…はらはらとお札が飛び出し空を舞う。

その瞬間……






「……俺の…この手が…光って唸る……」

何処からか聞き覚えのある声が聞こえ、工場内に木霊した。

「…この…声は!」
「やっと、来たか…」
「無事でしたか…」


アキラ、森川店長、カリームの三人が嬉しそうに声の出どころを探す。



「お前を倒せと…輝き叫ぶッ!」




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