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仔犬のすてっぷ

第31章 激突する、LOVE IT


「………それにしても、なんだよその格好は?まるで戦隊モノのヒーローみたいなスーツじゃねえか?」

 蒼空は潤の胸元を軽く拳で叩きながら、彼の容姿を下から上まで舐めるように見た。

……たしかに、戦隊モノのレッドとイエローがまじったような姿で、違うのはヘルメットが無い事と、両手は白い手袋じゃなくて、ゴツイメカメカしいアーマーになっている事だ。


「コレは、そこの女博士にもらった物さ。俺は以前あの博士に色々検査とかしてもらった事があってさ………。
そん時に、お試しで身体を守ってくれるスーツ作ってくれるって約束しててさあ〜。」


「…それ、転送システム使ってるんですかあ?掛け声で装着出来るとか……」

 ひと際目を輝かせ、かぶり付くように潤に質問してきたのはカリームだった。
確かに僕も、変身ヒーローものは昔よく見ていたし、興味が無いわけじゃない。


「残念ながら、変身システムについてはまだまだ実用には程遠い結果しか出てないけど……転送する方法が見つからないからねぇ…かと言って、変身用アイテムにスーツを仕込んでそれをボタンひとつで着用出来るとか……なかなか難しいのよね〜…」

博士から当たり前のような現実的な回答を聞いて、カリームはがっくりと首を項垂れた。


「なあんだ……ざんねん」
「これは俺がせっせと自分で着込んだんだよ。着てから両腕のシステムチェックしたり配線つなぎ直したりでけっこう時間がかかっちまうのは問題だけどさ……
さっきの電撃攻撃…以前のやつより強力なのに、自分に電気が戻って感電する事が無かったから大したもんだよ」

「なに?お前…あれ使って……もしかして今までずっと感電してたのか?」


森川店長の問いかけに、潤は苦笑いしながら頷いて答えた。

「ずっと、我慢してた」


あ、あれだけの電撃から返ってくる衝撃とか、電気の量なんて僕には分からないけど……


我慢…出来ちゃうんだ、この人……(汗)






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