テキストサイズ

仔犬のすてっぷ

第31章 激突する、LOVE IT


「フッ…ハーッハッハア!体が、熱く……
悪い気分じゃ無いですよぉ?さて……」

 口からよだれを垂らしながら、霧夜は獲物を狙う獣のようなギラギラした眼でこの場にいる全員をゆっくり見回して…


「あっ?!駄目だっ!」

 体も精神も少し回復してきていた僕は、ラビットの力がより鮮明になって………
スローモーションで動き出した霧夜の目的に気がついて声を上げる。

 だけど、それが判ったところで今の霧夜の動きについていける人間は誰もいない。
 蒼空にそれを伝えて、それを防ぐ…には時間がなさすぎた。

しかも……


「優希…駄目だ。さっきみたいに早く動けねえ…」

 一応思考は蒼空には伝わっていて…だけど、蒼空は思うように力をコントロール出来ていない。

・・・つまり、二人共判っているのにそれが出来無いんだ……なんて歯痒いんんだ!



「きゃあぁ?!」
「奈緒ちゃんっ!」

 周りには、霧夜がテレポートしていきなり奈緒ちゃんの背後に現れた様に見えているはずで……。

 そして、霧夜は……羽交い締めにした奈緒ちゃんの腕に注射器の針を打ち込んでしまった。



「ハッハッハア!下の処理はこの娘で楽しませてもらいましょうか!
この私が気がおかしくなりそうな強力な媚薬ですからねえ…量は半分になり、完全に従順な下僕にはならないでしょうが、この薬に抗う事など…普通の人間には出来ませんからねえ…」


あ…いけない。

 色々突っ込みたくなったけど……今は…それどころじゃない。





「あ……あああぁ〜…あ、あつ…い。からだがぁ………はあぁあぁ〜〜……」


 羽交い締めにされていて、苦しいはずの奈央ちゃんは……
 体を小さく震わせた後、膝からゆっくり崩れ落ちそうになるのを霧夜に支えられ、両腕をだらりと力無く下げて荒い呼吸を始めた。

 彼女の瞳孔は大きく開き、汗がダラダラと湧き出て…足元は失禁した彼女のそれで濡れてしまっていた。


「……ほらほら。早く遊んであげないと、この子は発狂してしまいますよ?
それが嫌なら、今すぐに私を開放することですね」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ