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「…貴様、やはり姫に力を分けてもらったな？！」

霧夜はとても嫌そうな顔をしながらトーマスを睨んだ。


「何を今更。お前さんだって嬢ちゃんの力を手に入れるためにこっちに来たんだろうが」

「…だからといって男とキスするなんて、私には理解しかねますね。彼の　“力”　を欲しがっているのは私ではありませんし」

「……ほう？そいつは、初耳だ。依頼人は誰だ　
？」

「……いけないいけない。これはうっかりしましたね……」

一瞬〈しまった！〉という表情をした霧夜だったが、すぐにいつもの飄々とした顔に戻る。


「薬のせいですかね…話しすぎてしまいましたよ。高揚するのも良し悪しがありますねぇ……」

　そういうと、霧夜は自分の腰に手を回し、羽交い締めにしている奈緒ちゃんに大型ナイフの刃を向けた。

　
「このままコイツでこの娘を切り刻んで快楽を得るってのも乙でしょうか…。
　この媚薬のせいで彼女は痛みも快楽に変える事が出来ますから、切られた瞬間から喘ぎ声を上げて…死に際に絶頂を迎え、甘い声を上げる……。ああっ…想像しただけで私もイきそうですよ〜！」



・・・なんて奴だ。


こんなイカれた奴のために奈緒ちゃんをそんな眼に……奴の餌食になんて、絶対にさせるもんか！




『……俺に、もっと力があれば……オッサンだけじゃ心許たないぜ…』



蒼空…。



　君だって、トーマスと戦ってボロボロなんだろ？
これ以上は…。


『…なあ？ＬＯＶＥＩＴの　“愛の力”　ってさ……愛が深まるほど、力を発揮するんだよな？』


不意に、蒼空がそんな事を言いだした。

そ、それは、そうなんだけど．．．



いや、ち、ちょっとまって！

そうなんだ、けど、ね？？
いま、きみがかんがえたことを、みんなのまえでするのだけは、だ、だめだからっ！！


『流石にみんなが見てる前で優希を可愛がっちゃうのは、駄目…だよなあ？俺自身も緊張して勃たないだろうし、奈緒の前で不謹慎だし……』



・・・・・・・・・コラ（怒）
見なくても、君と僕は感覚も少し共有してんだから判るんだぞ……。



こんな状況でおっ勃ててんじゃねえっ！



とりあえず今出来る最大級のツッコミ…
直ぐ側にいる蒼空の足を、僕は力いっぱい踵で踏んづけた。