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仔犬のすてっぷ

第32章 決着


「お着替えです。そのままではこの先お困りでしょうから、こちらで勝手にご用意させていただきました。サイズは問題ないはずです。
ホテルでの用がお済みになりましたらお着替えください。
なお、ホテルには2泊分予約が入れてありますので、ごゆっくりお寛ぎ下さい」


 操縦席側から突然現れた、中東スタイルの男の人がトランクケース三つを示しながら説明してくれた。


…って、どちら様?

「・・・って、アンタは何方?」

 カリームの関係者なのは分るけど…蒼空が訊ねるくらいだから彼も知らない人物ってことになる。


「失礼いたしました。私はカリーム様の身の回りのお世話を取り仕切るものです。
主人はラシードと呼んでおります」


この人が、ラシードさん?

黒髪で、シュッとしてて…なんか、スタイリッシュだ。
めっちゃくちゃイケメンだあ!
僕は…その……髭ムクじゃらな、某アニメのあの人みたいな方を勝手にイメージしてた。


「……あれ?アンタがそうなの?俺はてっきりいつも側にいる、あの強面のオッサンがそうなのかとばかり……」

うん。
あの人は髭モジャで、厳つくて、そのイメージが近い人だったし……蒼空もそう思っていたんだねェ・・・。


「彼はカリーム様を護衛するボディーガード達のいち班長に過ぎません。彼の名前は私とよく似たラーシドといいますし……」


・・・そりゃ、よく似たお名前なコトで(汗)
伸ばすところが違うだけだもんねぇ。


「まあ、我々の名前などは日本の方には特に聞き取りにくい場合もあるので、細かいことはお気になさらずに……
それよりも、ご挨拶が遅れまして申し訳ございません…」


そう言って、ラシードさんは深く頭を下げた。

下手な日本人より、きちんとした会釈だ、と僕は思ってしまう。



「…おや?もう目的地に着いたようです。
それでは、またお会いしましょう。こちらで降りて頂き、お車に乗り換えて頂きます。
ヘリでホテルは流石に目立ち過ぎますのでなにとぞご了承ください」


ヘリコプター…初めて乗ったのにもう降りちゃうんだ……。

なんか、気が付けば、あっという間に終わっちゃったなぁ…。


ヘリだけじゃなく、色々と……。






 とにかく、一連の騒動はこれで本当に終わったみたいだった。




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